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日本英語表現学会 第 37 回大会・総会
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研 究 発 表 要 旨 |
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現代英語におけるlet aloneの用法について
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名和 俊彦(関西大学)
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本研究発表では、談話レベルを射程において、X(,) let alone Y構文の位置的特徴、情報構造上のXとYとの関係、意味とそれに伴うニュアンス、not to mentionやmuch lessとの比較、否定文と肯定文における用法に伴う話者または書き手の心理的側面を考察する。先ず、位置的特徴においては、英米の辞書では文尾の例しか挙げられていないが、実例観察により文頭、文中でもこの構文が用いられることを示し、談話レベルでの考察も必要であることを説く。次にこの構文の情報構造において、Xが新情報、Yが旧情報である関係を成し、XとYが同一の尺度(scale)の下で包含関係を成していることを見る。そして、この情報構造上の関係と同一尺度上の包含関係がこの構文の意味とニュアンスに直接関連しており、類似の意味を持つnot to mentionやmuch lessとの相違点となっていることを明らかにする。否定文と肯定文での用法に伴う話者または書き手の心理的側面に関しては、この構文が通例否定的な、または準否定的な文に用いられることを踏まえて、肯定文で用いられる場合にもXとYの情報構造上の関係と同一尺度上の包含関係を維持する文脈が容認の大きな要因となっており、これに伴う話者または書き手の心理的側面を究明し、*He speaks French and German, let alone English.が容認されない明確な理由を提示する。
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